2プレーヤー・イン・ワンボックス

Omega SACD-2は、PCM信号(CD)とDSD信号(SACD)を分離した、独立の信号ラインを備えています。信号ラインを分離させた理由は、それぞれのデータストリームに対して妥協のない信号処理を実現することにあります。信号の分離はトランスポートメカの光ピックアップにはじまり、CD用とSACD用の2つの光ピックアップが使用され、2つのデジタル信号は最終ステージであるD/A変換まで、それぞれ独立して信号処理が行われます。PCM信号はデジタルフィルターやサンプリングレートコンバーターを経由する一方、DSD信号はすべてデジタル処理をバイパスし、デルタ-シグマ型D/Aコンバーターにダイレクトに送られます。これにより、両フォーマットにおけるひときわ高い性能を実現しています。
他のすべてのクラッセ製品と同様、Omega SACD-2はもっともリアルで、もっとも感動的な音楽パフォーマンスを身につけるべく、試聴とともに測定を重ねて作られています。クラッセの設計チームは、測定結果が音質と関わり合う場合と、測定結果が必ずしも音質とは一致しない場合があることを、ここ何年かの間に習得してきました。Omega SACD-2について言えば、測定に基づいて改良すべきいくつかの点がありました。しかしながら、それらの改良を行うと別の測定では性能を落とす結果になり、なにより重要な問題は、音質が劣化してしまうことでした。
Omega SACD-2のトランスポートメカには、ソニー製の「555ES」を採用しています。CD、SACDの両フォーマットから最良の性能を引き出すため、このトランスポートメカには、CDレイヤー層の読み取りと、半透過のSACDレイヤー層の読み取りを行う独立の光ピックアップが使用されています。
PCM信号、DSD信号の分離化とともに、それぞれの信号処理を最適化するテーマを徹底させるため、PCM信号に対してはデジタルフィルターを使用しています。このデジタルフィルターは、CDとHDCDの信号処理が可能。さらに、サンプリングレートコンバーターの搭載により、Omega SACD-2のリモコンまたはフロントパネルから、異なるサンプリングレートにデジタル信号を変換することができます。
サンプリングレートコンバーターは、最高192kHzまでのハイサンプリング信号を出力。加えて、このコンバーターは非同期であるため、入力クロック信号を廃棄して新しいクロック信号を創り出します。入力クロック信号に含まれるジッターは、新しいクロック信号に影響を与えません。また、ジッターは完全に排除されるだけでなく、廃棄されるクロック信号に含まれる残留ジッターのスペクトラムも、入力クロック信号と関係することはありません。このハイサンプリング処理とジッター低減のコンビネーションにより、音質面での大きな改善を果たしています。
CDをデコードするために使われるデジタル&アナログフィルターは、D/Aコンバーターと連係して機能します。8倍オーバーサンプリングによるデータ補間と、ゆるやかなロールオフ特性により、周波数特性と時間軸上のレスポンス特性をバランス良く保った理想的な音質を実現しています。また、HDCDをデコードために独立のプロセッサーが用意されています。CDの場合と同様、8倍オーバーサンプリングによるデータ補間で、HDCDデコード信号をD/Aコンバーター&アナログフィルターへ送り込んでいます。
ソニーSACDシステムの大きなメリットのひとつは、DSD信号ではD/Aコンバーターの前段においてデータ補間のためのデジタルフィルターを使う必要がないことです。SACD-2はこれをフルに活かし、DSD信号に対してはすべてのデジタル信号処理をなくし、デルタ-シグマ型D/Aコンバーターへダイレクトに送り込んでいます。
D/Aコンバーターには、ステレオ仕様のデルタ-シグマ型D/Aコンバーター「Crystal CS4397」を3チップ使用しています。チャンネル単位で言えば、2チャンネルのバランス(XLR)出力と、2チャンネルのシングルエンド(RCA)出力に対して、計6チャンネルのD/Aコンバーターが使用されていることになります。ちなみに、このD/Aコンバーターはシラスロジック(デルタ-シグマ型D/Aコンバーターにおける最先端メーカーのひとつ)製の最高級デバイスで、PCM、DSDの両デジタル信号再生において、ダイナミックレンジ、リニアリティーともに理論的限界に迫る性能を誇るものです。
ステレオ仕様であるD/Aコンバーターの2チャンネル出力のうち、1チャンネルを正相信号用に、もう1チャンネルを逆相信号用に使用。ステレオ・バランス出力とするために、計2チップのD/Aコンバーターが使われています。また、3チップ目のD/Aコンバーターはそのままステレオ・シングルエンド出力用に使われています。D/Aコンバーター出力は、バランス、シングルエンドそれぞれ独立のアナログ回路へ送られ、バランスとシングルエンドの2つの出力は、互いに干渉しないように設計されています。
アナログ回路の役割は、高周波のパルス列であるD/Aコンバーター出力を、ラインケーブルからプリアンプへと、アナログ出力として送り出すことです。D/Aコンバーターから出力される信号は、振幅の等しいパルス列で、その周波数は2.8MHzになります。これは、パルス密度変調されたものであり、パルス列の平均値がアナログ信号となります。アナログフィルターはパルス列の平均化を果たすもので、高周波信号を除去するローパスフィルターとして機能し、アナログ信号のみを残します。このプロセスで残留するノイズは基本的にランダムノイズですが、ノイズシェーピング処理によりオーディオ帯域外のはるか高域へシフトされています。
アナログフィルターは2次パッシブ型フィルターで、12dB/octのロールオフ特性をもたせています。これは、より次数の高い、急峻なスロープ特性をもつフィルターほどの帯域外除去効果はありませんが、ロールオフ周波数は35kHzとなっており、2MHzで96dBの減衰量となっています。このフィルターは、ノイズを抑圧すること以上に、聴感上の不自然さ、混変調ひずみを抑えるメリットがあり、100Hzから10MHzの広帯域にわたって、群遅延をゼロにする時間軸領域での高い性能を発揮します。これは急峻なスロープ特性をもつフィルターでは達成できないレベルとなっています。なぜならば、フィルターは高品質のコンデンサーと抵抗だけで構成されたパッシブ型であり、それ自身、ひずみやノイズを加えることがなく、音質がピュアに保たれるからです。
THD測定とアナログフィルター

アナログフィルターの選択は、THD(全高調波ひずみ)の測定結果に影響を与えます。高調波ひずみを測定する計測器は、高調波ひずみと、それ以外のノイズとを識別することができません。このため、スペック上は一般的にTHD+ノイズとして表示されます。したがって、デルタ-シグマ型D/A変換プロセスで生じる残留ノイズは、必然的にTHD+ノイズの数値を上げる結果となります。この残留ノイズ、つまりTHD+ノイズは、急峻なスロープ特性をもつアクティブ型フィルターを使えばより大きく低減できますが、スペックを良くする一方で音質を犠牲にすることになります。他の設計ではより低いTHD+ノイズを見かけますが、これはOmega SACD-2の音質とは相容れないものです。
アナログフィルターの第2ステージから得られる電圧は、信号を出力するうえで十分なゲインを備えていますが、電流のバッファー(ゲイン)は、ライン出力ケーブルからプリアンプへとオーディオ信号を送るうえで欠かせません。このための出力ドライバーに、ゼロフィードバック回路を採用しています。フィードバックをなくすことは特別なアドバンテージがあります。出力ドライバーはオーディオケーブルを通じて本体に入り込む、RFノイズのような外来ノイズを避けなければなりません。フィードバックがある場合、出力から入力に信号が戻されるため、このようなノイズが入り込んでしまう恐れがあるからです。
出力ドライバー全体は、ゼロ電圧ゲイン、ゼロフィードバックで構成されています。このエレガントなシンプルさは、Omega SACD-2で採られているすべての設計アプローチの典型と言えるものです。同時に、それはひとつの設計思想であり、きわめてナチュラルで、心安らぐ音質を引き出しています。こまやかなディテールを再現するOmega SACD-2。その音楽再生能力は、どのような音楽愛好者の方も満足させ、魅了させるものとなっています。
主な仕様
出力レベル
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1.2V(アンバランス)/2.0V(バランス) |
| 出力 |
アナログ2系統(バランス1系統 、アンバランス1系統)
デジタル2系統(コアキシャル1系統 、AES/EBU1系統) |
| 消費電力 |
50W(定格) |
| 寸法/重量 |
441(W)×120(H)×380(D)/13.6Kg |
| 標準価格 |
¥1,239,000
(税込) |
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